僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
だから、彼が手渡してくれた下宿代は、手を付けずに貯めてある。
彼がいつかここを出ていく時に、そっくりそのまま渡してあげられたらいいなって。
せめてもの、私の感謝の印として。
「弘美さん、またタオル忘れてるでしょ。ここ置いときますから」
洗面所から声を掛けられて我に返った。
「あ……、ありがと」
暫くすると、階段を上る彼の足音が浴室の天井に響いた。
多分、私の部屋に布団を敷き終わった彼が、二階の自室へ着替えを取りに行ったのだ。
――愛されるより愛したい、か……
私の愛って何だろう?
そう思った。