僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?


今のあたしなら、わからなくもないよ。


年老いた両親を放っておけない、彼のそんな優しさだって理解できる。


でも……

当時のあたしは、それより先に自分の我が勝ってた。


なんで親が一番で、あたしが二番なのかって。


彼がもっとずる賢く立ち回って、両親の反対を押し切って東京での二人の暮らしを優先させて。

子供でもできた時点で、なし崩し的にUターンを持ちかければ。

あたしだって、渋々、彼に付いて金沢に行ったのかもしれない。


そんな小細工できない、彼の真直ぐなところが好きだったのにね。
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