僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「嗚呼、美味しかった」
「お粗末さまでした」
「いくらコラーゲン一杯って言っても、食べすぎたら太るよね」
「女の人は少し太めくらいの方がはりがあって綺麗ですよ。抱き心地も良いし……」
僕は冗談交じりに笑いながら弘美さんを見た。
ちょっと戸惑うような、恥らうような困った顔がそこにあって。
ビールのせいもあって、ほんのりピンク色に染まった頬。
綺麗だな、って思った。
「ほら、片付けは僕がしますから、弘美さんは座ってテレビでも観ててください」
僕は胸の高鳴りを誤魔化すように立ち上がると、リモコンを手に取りテレビのスイッチをつけた。
丁度チャンネルはNHK、八時のニュースの時間。
『こちら日比谷公園には、炊き出しの準備と寝泊り用のテントが張られ、ここを目指して続々と人が集まってきています。こちらの男性は、横浜でこの年越し派遣村のチラシをもらい、四時間かけて歩いて来たそうです……』
僕はテレビの画面に釘付けになった。
炊き出しのテントの横には〈日比谷で年末年始を生き抜く〉の大きな立て看板。
湯気立つ大鍋の周りには沢山の人が集まっていた。