僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?


私は、両手で自分を抱きしめた。


(がんばったよ、がんばってきたよね。少し気を抜いてもいい頃だよ)


慰めるように、自分を自分で抱きしめてみても温もりは伝わらない。

なんだか余計に気分は落ち込んで、溢れてくるのは涙ばかりで。

何故こんなにも涙が溢れるのか。

いったい全体、何故なのか。



認められない自分が惨めだから?

家族の愛を信じていた馬鹿だから?

四十も過ぎて、大晦日に一人ぼっちだから?



(そっか、あたし、寂しいんだ。寂しくて、寂しくて仕方ないんだ。だから人恋しくて涙が出るんだ)


そんな単純なことに、今更気づいた。

私は、彼の、畠山孝幸の温もりを求めているのだと。

寄り添ったつもりが、寄り添われていたのだと。
< 194 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop