僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「親父を、見つけた」
そう言うと、彼は一歩玄関の中へ自分の身を進め、後ろを振り向いたのだ。
「ほら、親父、こちらが、中山弘美さん。僕の恩人」
「そりゃ、ありがてぇこった。わし、畠山信幸です。こいつの父親だす」
彼の後ろから現れた肩をすぼめた小さな白髪頭の老人が、玄関先でペコリと頭を下げた。
「恩人だなんて、大げさです。はじめまして、中山です」
あたしは訳もわからず、目の前の老人に向かって挨拶を交わす。
「昨日の夜、年越し村で見つけたんだ」
彼の興奮冷めやらぬ様子を見て、私は妙に冷静になった。