僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「さんびゃくまん?」
端数こそあるものの、そこには、ほぼその金額の数字が並んでいた。
「親父のやつ、こんななりして、こんなに貯め込んでたんですよ!」
彼のその口調には棘はないけれど、呆れたような、不思議な響きが感じられた。
「こりゃ、わしの金じぁねぇ。由布子に送った金だ……」
彼の後ろから、消え入りそうな小さな声えでそう呟きながら、畠山信幸は立ち尽くしていた。
私は、通帳に記載された入金日付を確認する。
年に一、二度、数万円の金額が入金され、少しずつ、本当に少しずつ金額が増えていく。
でも、引き出したあとは一切ない。
長い年月をかけて積み上げられたその重みに胸が苦しくなった。