僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

「もしかして、お母様はこのお金のことをご存知なんじゃない?」

「親父、そうなのか?」

「わしは、わからね……わしは、由布子に、合わせる顔がね……」

「親父、それじゃ、何がなんだかわからない」

「わしは、あっちゃある時、ひと冬の給料どご競馬だすっちまって、由布子んとこにけえるさけえれなくなっちまった……」

「親父、競馬なんて、やったことなかったじゃないか」

「あっちゃある年の給料日はたまたま金曜で、帰る準備や何やらで銀行さ入金する暇がなくて、現金そごさ持ってましたす。それが悪夢の始まりだったべ……」

「悪夢って……」

「土曜の夕に帰るつもりでいたんだども、寮の友人に誘われて、始めて競馬に行ったんだす。勿論、わしは見るだけで、賭けるつもりはねだったべ……だどもあいつが、勝手に、わしの金どご……」

畠山信幸の顔が苦痛で歪んだ。
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