僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「あっ、そういえば、あなた今日仕事じゃなかった?」

目に入った時計はもう、十時を指していた。

「帰りがけに店に寄って、無理言って今日と明日、休みを貰ってきました」

そう言いながら、彼は器を手に私の後についてくる。

「弘美さん、僕、今晩、親父を大曲に連れて帰ります」

彼はあたしの背中からそう囁いた。

「そう、それがいいね。一人じゃ、きっと無理だろうから」

「これからちょっと駅前行って、親父の靴買って、列車のチケット取ってきます」

「うん、わかった」

そう頷いて、胸がキュッと痛んだ。


(寂しい……、今夜も一人で過ごさなきゃならないんだ)


いい年して、子供みたいなこと考えてる自分に気付いて愕然とした。

でも、湧き上がるこの気持ちは自分でもどうしようもない。
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