僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?


手にした古い葉書の住所を頼りに地図を探して歩いた。


(ったく、どっちが北なのよっ!)


彼の自宅の雑貨店は、地図によれば駅から数分の商店街にある筈なのだが……


(タクシー乗るほどの距離じゃないし……)


降り立った金沢の駅は、あたしの想像を遥かに上回る都会で。

寂れた古都を想像していたあたしは面食らった。


(確かに住所はここら辺なんだけど……)


そこは大きなビルが立ち並ぶ、所謂街の中心街で。

彼から聞いていた、年老いた両親の営む雑貨店らしき古い家など何処にもなくて。

あたしは途方に暮れて、それらしき道を行ったり来たり、かれこれ数十分が過ぎようとしていた。


(まさか潰れた?)


だよね、今時雑貨店なんて流行らない。

諦めて駅に戻ろうと大通りを渡ろうとした時だった。
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