僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「でも……、僕は一日だってくーちゃんのこと忘れた日はないよ。気付かなかった? この店の名前」
「えっ?」
「この店の名前、『くう』って言うんだぜ」
全く、のんは、あたしの気持ちなんてお見通しだったのだ。
あたしは、おいおいと声を上げて泣いた。
歳を経たから涙脆くなったのか。
彼の事情をそのまま丸ごと受け止める、器量があたしに備わったからなのか。
それとも……
まだ彼の中に、あたしの居る場所が在るとわかったからなのか。
あたしの馬鹿さ加減を、彼が許してくれているのだと。
あたしが彼を忘れられなかったのは、彼の念力のせいなのだと。
あたしは彼の、その優しい腕に包まれて、思いっきり泣いた。