僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?


「なんか、くすぐったい。けど幸せ」


「僕は、弘美さんが僕のことを男として愛してくれなくても、ずっと側にいるつもりでした」

「あたしを抱けなくても?」

「それは問題じゃありませんよ。言ったでしょ、愛してるって」

「若いきみみたいな青年が、プラトニックに愛を語るって……」

「信じられませんか?」


「ううぅん」


彼女は静かに首を横に振った。


「でも、あたしは、愛されてるなら、抱かれたい……。

愛してるなら、抱いて欲しい……」


僕の胸に頬を寄せて、彼女の熱い息がそう囁く。


「弘美さんが望むなら、いくらでも応えますよ」


僕はそう言いながら、弘美さんの身体に再び指を這わせる。


「あっ、でも、もう子供は無理。それは諦めて。はっきり言って、自殺行為だから」

「わかってます。僕は弘美さんさえいれば十分です」

「子供とか、欲しくないの?」

「う~ん、欲しくないっていったら嘘になるかな。僕、子供好きですし。いつかは父親になるのかなって、漠然と思ってた時期もありましたから。でも……」

「でも?」

「ほら、いまに好美さんに赤ちゃんが生まれますよ。そしたら、その子を可愛がればいいでしょ」


「きみってさ、ほんと……」


弘美さんが僕にキスをした。

僕もそれに応えて、キスを返す。

僕は、また激しく弘美さんを求める。

こんなにも人を愛しいと思ったことがあっただろうか。

こんなにも、一つになりたいと心から願ったことがあっただろうか。

彼女は僕の求める手に応え、甘い吐息を漏らした。



女神が僕の手の中で息づいていた。
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