僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?


別れた夫の世話をあたしがする義理はない。


でも、娘にその重荷を負わすわけにはいかなかった。

たとえ、好美があたしより、夫を選んだということが事実であっても。

まだほんの二十三の好美に、母として、その重荷を負わすわけにはいかなかった。


「あたし、行かなくっちゃ……」


やっとのことで、その一言を口にした。


「元旦那さん、倒れたの? 意識戻らないんですか?」


状況を察したように彼が問いかけてきた。


「うん。だから、行かなくちゃ。好美が一人で不安がってる」


そう震える声で呟いたあたしを、彼は優しく抱きしめた。


「僕も一緒に行くよ」


耳元でそう囁かれ、身体中の力が抜けそうになる。


その言葉に甘えたい。

甘えられたら、どんなにいいだろう。
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