僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?


「大丈夫。一人で行ける。あたしがしっかりしないといけないから」


そう言って、彼の腕から逃げようと胸を押した。

その瞬間、息が出来ないくらい苦しくなったのは、彼が私を更にきつく抱きしめたから。


「弘美さん、また無理してるでしょ」


笑うような優しい声があたしを包み込んだ。


「好美さんに全てを押し付けて、自分は知らん振りなんて、弘美さんにできるわけがないってわかってます。

気が済むまで看病すればいい。

でも、それとこれとは別ですよ。

僕はここに居ますよ、弘美さんと一緒に。

だから、そんな悲しそうな顔しないで下さい。

大丈夫、なんとかなります。

僕がついてますから」


恐る恐る顔を上げると、彼はやっぱり笑っていて。

私を優しい瞳で見つめていた。
< 246 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop