僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「今までと同じような生活は無理ってこと。
会社も続けられるかどうか……
それでも命があれば、なんとかなる。保険もあるし、あの家売って、生活を慎ましくすればなんとかなる。
あなたももう社会人なんだから、自立することも考えないとね」
「やっぱり、たいへんなんだ……
どう転んでも、今までより良くはならないってことか……」
「好美、あなたが、今が一番、って思ってるならね」
「あたしに未来のことなんてわかるわけない。
わかるのは、あの家を失うってこと。
守られる立場から、世話する立場に変わるってことでしょ?
……やんなっちゃう」
今まで何不自由なく暮らしてきた。
これがその代償なのかな?
ママに促され、手術同意書にサインを済ませた。
「じゃ、ゆっくり休むのよ」
あたしは固まった頭を抱え、一人家に帰ることにした。
そこには、あたしの幸せの全てがある筈だった。