僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
そんなことを思い悩みながら、病室に戻ると、そこにはまだあの女がいた。
東条円香。
元夫の会社の部下。そして元愛人。
確か歳は、三十台後半。
女性ながら課長職まで上り詰めたキャリアウーマンと聞いていた。
「すいません。あの……、お医者さまは何て?
正博さんは目が覚めるんでしょうか?」
元夫を名前で呼ぶこの女の、縋るような瞳に負けて、私は彼女に状況を伝えた。
「血瑠を取り除く為に手術が必要だと言われました。でも、後遺症として記憶障害や麻痺が残るかもしれないと」
「そうですか……それでも、命は助かるんですね」