僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

あまりに素直に嬉しそうにする彼女が疎ましくて、

「それが?」なんて、冷たい言葉を投げかけたけど。

「わたし、正博さんが倒れたと聞いて、居ても立ってもいられなくて……

お二人が離婚なさった後、私達別れたんです。
お互いに酷く罪の意識を感じて、なんとなく関係がぎくしゃくしてしまって。
わたしもご承知の通り、この歳まで一人で頑張ってきた訳ですし、今更誰かに頼る必要もないというか、お二人の関係に皹を入れたかった訳ではなくて、ただ……」

「ただ、何ですの?」

「ただ、正博さんといると楽しくて、安心できたんです。

仕事の面でも得るところが沢山ありましたし、ギブアンドテイクの関係というか、割り切ったおつきあいだと思っていたんです。
でも……」

「でも?」

「別れて気づきました。
わたし、正博さんを愛していたんだなって。

もう若くもありませんし、自分がそんな情熱を持っているなんて信じられない気持ちで。
わたし正博さんを失うことが怖いんです。
だから今は、少しでも長く彼と一緒にいたいと……」


私はゆっくり大きく息を吸い込んだ。

今だから受け止められる彼女の素直な気持ち。

これも巡り合わせかな、と。
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