僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「好きにさせてあげればいいじゃない、ママ。この人がそれで良いって言ってるんだから」
声の聞こえた後ろを振り返ると、帰った筈の好美がそこにいた。
それも口を尖らせて思いっきり不機嫌な面持ちで。
「どうせ、遺産目当てよ。
それでも、こんなになったパパの世話をしてくれるって言うんだもの、ありがたいと思わなきゃね」
「好美!」
「あたしには、言う権利あるでしょ。
今、パパの肉親はあたしだけで、あたしの決断にパパの命が掛かってるんだもの。
あたしが必要ない、って言えば、パパはこのまま目覚めずに天に召されるのよ!」
「好美!」
「何よ、自分だけが悲劇のヒロインみたいな顔して。
あんたのせいでパパとママは別れたのよ。
あたしの家族をめちゃくちゃにして、何が今更、パパを愛してますよ。
パパが一人で苦しんでいた時、あなたはどこで何してたのよ。
パパは毎日、とっても苦しそうだった。
きっと、そのストレスで倒れたのよ。
全部あなたのせいよ!」
「好美、言い過ぎですよ」
そう窘めながらも、好美の言葉は全てそのまま私の気持ちの代弁でもあったのだ。