僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

でも、目の前の邦子は幸せそうで。

そんなあたしの疑問など挟む余地も無いほど落ち着いていた。


「のんはミニコミ誌の方で忙しくて、店番はもっぱらあたしの仕事なんだ」

「編集ならあんたの専門じゃない。手伝えばいいのに」

「いいの、いいの。のんの楽しみ奪っちゃ悪いし。たまに、昔のコネで有名どころの先生にちょこっと寄稿して貰ったりして手助けはしてる」

「ふぅん」

あくまで呑気な邦子に、私は何だか肩透かしを食った気分だった。

「で、弘美の方はどうなの?」

「え、嗚呼、正博さんは大分いいよ。

杖必要だけど、自力で歩けるようになったし。言葉も随分はっきりしてきた。

愛の力じゃない?」

「じゃなくて、若い彼氏の方よ」

「嗚呼、孝幸くん?

元気だよ、相変わらず」

「あんた達は結婚しないの?」

「まさか! 十四も年下なのよ」


なんだかいつの間にか私の方が質問責めに会っていた。
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