僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
元夫が倒れてから、緊急事態に備えて私は携帯を肌身離さず持っている。
今は彼の妻となった円香さんと娘の好美を繋ぐ仲立ちとして、私の役目を果たす為だ。
でも、今震える携帯は、噂の彼孝幸くんからのものだった。
「もしもし……」
「あ、弘美さん、すいません楽しい時間の邪魔しちゃって。
ちょっと確認、いいですか?
弘美さんの帰りって、明日の午後でしたよね?」
「あ、うん、そうだけど。
何かあった?」
「あ、いえ、同僚の佐藤さんから子供が熱出したから夜勤代わって欲しいって言われて……」
「嗚呼、あの父子家庭の? 確かお子さんまだ小学生だったっけ」
「そうなんです、三年生」
「代わってあげなよ。一人じゃ夜心細いでしょ」
「でしょ、僕もそう思って。
でも、そうすると、弘美さんが帰る頃、僕爆睡してると思うから……」
咄嗟、彼が私の夕食の心配をしているのだと理解した。