僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「わかった。あたし買い物して帰るから、夕飯は心配しないでいいよ」
「そうですか、すいません。じゃ、お願いしようかな」
彼のホッとした様子に安堵した。
「それはそうと、邦子さんお元気ですか?
何か急だったから、お別れもちゃんと言えなくて気になってました」
「あ、元気元気。元気過ぎるくらい元気……
と、ちょっと邦子……」
「あ、孝幸君、ご無沙汰ぁ~
何であなたも一緒に来なかったのよ?
てっきり一緒だと思って待ってたのに。え、あっそう。何だ、そうなの。じゃ、今度は是非一緒にね。家の亭主も君に会いたがってるし。うん、え、そりゃいいわ、ハハハハ……」
私の手から強引に携帯を奪った邦子が、彼と楽しそうに話す様子をぼおっと眺めてた。
あの夜からこっち、何度となく邦子は我が家に来て酒盛りし、彼とは実は仲が良いのだ。
「えっと、弘美と代わる? もう用事は済んだのかな? あ、じゃまたね」
「はい」
と邦子に携帯を返された。
「待ってますってさ」
「そりゃそうでしょ、あそこはあたしの家だし」
「素直じゃないなぁ」
私だって解ってる。
良い子の殻を脱ぎきれないのは私なんだってこと。
苦笑する邦子を睨みつけた。