僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?


「幸せって何だろうね」


思わず呟いていた。


「生きてるってことですよ」


間髪入れず、金井くんから返ってきた答えに、

そっか、と素直に頷いた。


そっか、そんな単純なことだったんだ。


「生きてたから、くうちゃんにまた会えた。

これから死ぬまで、くうちゃんと一緒にいられたら、それだけで僕は幸せですよ」


金井家の夜の食卓で、酔いつぶれた邦子を労わりながら、彼は真っ赤な顔でそう言った。
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