僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
金沢の街が思いのほか都会で驚いたこととか。
金井さんの商才で、古い雑貨店がビルになっていた話とか。
佐藤さんの子供の熱が今朝には下がったこととか。
店の前のゴミ箱が倒されて、掃除に時間がかかったこととか。
金井さんが、死ぬまで邦子さんと居られたら、それだけで幸せだと惚気た話とか。
「その気持ちわかるな」
「そう?」
「だって、それが愛してるってことじゃないかな。
改めて口にすると、凄く恥ずかしいですけどね」
その時、絶妙のタイミングで僕のお腹がグルルル……、と鳴った。
「ご飯にしよっか」
号令をかけられたように、僕ら二人は立ち上がった。