僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

箱には、わずかな小銭が転がっていた。

その後ろで、僕は立ちつくす。


〈秋田大曲までの旅費が足りなくて困っています。カンパをお願いします〉


そんなチンケなメッセージを胸に抱えて。

自分で言うのもなんだが、字は綺麗なほうだ。

体裁だけは取り繕い、しっかりと黒ペンで書かれたそれは、今、僕がここで物乞いをしている理由。

見るからに物乞いの僕に、僅かに残った羞恥心。

『カンパ』なんてきれいごとだ。

ぼくの物乞いする理由がこんな短い言葉で伝わるはずもないし、納得してもらおうとも思わない。

僕自身にだって、納得できていないのだから。
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