僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
契約更新ならず>
「畠山君、悪いけど、これ急ぎでお願い」
「はい」
金曜の五時を過ぎて、当然のように渡された指示書を、僕は顔に少しの笑みさえ湛えて受け取った。
「畠山君は、無理聞いてくれるから、助かるわ~
女の子はさ、ほら、もう既に帰っちゃったし。
ほんと悪いけど、月曜朝一の会議で使う資料なの、宜しくね」
彼女は山本恵子。
女性でありながら、部下を四人持つ主任職にある。
恐らく、歳は僕より下。
だけど、彼女は正社員で、僕は派遣。
その間には広くて深い溝がある。