僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

この建築会社の設計部に派遣されてから、もうかれこれ二年が過ぎようとしていた。

その前の派遣先も含めれば、僕だってもうベテランと言われて然るべき年齢なのだ。

だけど、この会社に来てからはまだ二年。

僕の仕事はいつまでたっても、自分より年若い正社員の下請け仕事から抜け出すことはない。

三十を過ぎ、ようやく僕にも社会の仕組みというものが見えてきた。

派遣社員という立場では、キャリアを積むという言葉は幻想に過ぎないのだ。

派遣先での就業年数が、そのままそこでのキャリアと見なされる。

派遣先が変われば、僕のキャリアはまた一からスタートすることになる。
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