僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「ちょっと、来て」
彼女は僕の服の袖をちいさくつまんで歩き出した。
訳も分からずその手に引きずられていく。
僕にはもう自分で考える力など残っていなかった。
彼女と僕の行き着いた先は駅前広場のベンチ。
彼女は僕を座らせると、僕の目を見て諭すようにささやいた。
「ちょっとここで待ってて」
彼女は水色の菓子箱とダンボールの切れ端をゴミ箱に投げ入れ、小銭を僕に握らせると、一人、駅ビルの中へと消えていった。
僕は言われた通り、ベンチに座って彼女を待った。
どれくらい時間が経っただろうか?
恐らく三十分かそこらの短い時間だったと思う。
それは、僕が朝からあてもなくあの場所に立っていたのとは比べものにならないくらいの短い時間。
彼女は大きな紙袋を手に提げ、小走りに戻ってきた。