僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「ちょ、ちょっと止めてよ、恥ずかしいじゃない。兎に角、こんな玄関先じゃなんだから、中に入って頂戴」
私は、人目を気にして、彼を家の中へと招き入れた。
何せ、ここは私の地元。
何かあれば声掛け合う気安さはあるけれど、噂も立ちやすいのだ。
ま、いちいち気にしてたら身が持たないけどね。
居間に入って、ソファに座るように勧めると、彼は手提げ袋の中から包みを一つ取り出した。
「これ、つまらないものですけど、秋田銘菓のキンマンです。お口に合うといいんですけど」
そんな彼の態度からは、あの時のオドオドとした様子はもう伺えない。
(ちゃんと、リセット、出来たってことかな)
急に母性が頭を覗かせ、あたしは何だか嬉しい気持ちで一杯になった。