僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

「もう、大丈夫そうだね。お母様にもちゃんと会えたんだね」

「はい、母にも心配かけてしまいましたが、何とか立ち直ることができそうです」

「で、今は何してるの?」

「はい、今はまだ何も。地元でも仕事を探したんですが、東京より状況が悪くて。だから、また、東京に出て仕事を探すことにしました。
母が少し、お金も都合してくれましたので、これからアパート探して休職活動するつもりです」

彼の返答に、私の気分は一気に暗くなった。

「あなたね、東京だって、状況は今年の初めより更に悪いんだよ。これからアパート探すって、仕事も無しに? 保証人は?」

「何とかなりますよ。あの時とは違います。今は、気力だけはありますから」


(はぁ……)


と私は、心の中で大きなため息をついた。

そんなに世の中甘くない。

私の介護の職場にも、派遣切りに会った若者が、時折職を求めてやってくる。

でも、続かないんだ。

気力だけじゃ続かない。

闇雲に仕事を探すって、考えるより難しいことだよ。
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