僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「ほ、ほんとにいいんですか?」
少しばかり頬を上気させ、彼の顔は喜びに輝いた。
「女の一人暮らしは物騒だなって、思ってたとこだし」
「あの、僕、家事は得意です。掃除、洗濯、ゴミ出しと言わず、料理だって得意です。何でも言って下さい。
嗚呼、こんなことで弘美さんに恩返しができるなんて、僕、嬉しいなぁ。あ、僕、また助けて貰ってるんですよね。
大丈夫、ちゃんと分かってます」
「ちょっと待ってて」
私は、嬉しそうに笑う彼を居間に残し、納戸にしまってあった彼の荷物を取りに行った。
(何やってんだろ、あたし)
彼を下宿させることを咄嗟に思いついた自分に驚いていた。
だって、ここで放り出したら、また路上生活に逆戻りよ。
どう考えても。
これもまた人助け。
私は、そう自分に言い聞かせる。
荷物を運びながら、鼻歌が出る。
足取りも軽く、踊りださんばかりだ。