僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「はい、これ、あなたの荷物。危機一髪だったのよ、もう一日遅かったら、処分されてたかも」
私が荷物を差し出すと、彼は大事そうに荷物を引き寄せ、ゆっくりとバックのファスナーを開けた。
「これ、そんな大した物じゃないけど、僕にとっては大切なカメラなんです。コツコツ貯めた金でやっと買った、唯一の贅沢品。デジタル一眼レフなんですよ」
彼はそう言うと、嬉しそうにカメラをケースから取り出して見せた。
「これで弘美さんをいっぱい撮りたいな」
真っ直ぐな瞳で見つめられ、年甲斐もなく頬が熱くなる。
「冗談止めてよ、こんなオバサン撮ったって絵にならないって」
「いえ、弘美さんは僕の女神ですから。
弘美さんは美しいです」
「や、止めてよ」
私の顔は熱に浮かされたように火照った。
なんかもう支離滅裂だけど。
一人暮らしは気が滅入る。
同居人大歓迎よ!