僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「弘美さん、ここは僕が」
レジで会計を済ませようとした時、彼が胸元のポケットから銀行の封筒を取り出してそう言った。
「何言ってんの。
それ、お母様のお金でしょ。
君には、初給料で奢ってもらうから、そのお金は大事にしまっときなさい」
私は、咄嗟にその手を止めた。
「そうですね」
私の厳しい口調に、うな垂れた彼を眺める。
別に彼を凹ませようと思った訳じゃなかったけれど。
子供を持つ母としての、普通のたしなめだったのだけれど。
私にとっては、ごく当たり前の気持ちだったのだけれど。