僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

「なら、なおさら、大切に使わなくちゃね」

「確かにその通りですけど。
でもね、弘美さん、僕、思うんです。
お金って、何の為にあるものなのかなって。
だって、母のように、無駄使いもせず、コツコツと貯めたって、使わなきゃ、それ自体が無駄じゃないですか。
お金に困って、物乞いしてた僕にそんなこと言う資格ないのかもしれませんけど。
でも、僕はお金がないから物乞いしてたんじゃない。
生きる気力が無くなって、だから物乞いしようと思ったんです。
だって、ゴミ漁ったって、空き缶拾ったって、生きて行こうって気力があれば、なんとかなるものなんですよ、この世の中って」

そう言った彼の目は、固い決意のようなものがみなぎっていた。
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