僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
家に戻ると、私達は、ビールで乾杯して、鍋をつついた。
生きる意味なんて、何処かへ吹き飛ばして。
生きるには食べないと、なんて、遥か彼方に思考を追いやって。
驚いたことに、彼は鍋奉行で。
一切合財、私に口を挟ませず鍋を取り仕切った。
「あっ、弘美さん、そこ、お肉もういいですよ。はい、白滝。あっ、卵足しましょうか?」
彼は器用に箸をあやつり、最後には焼きうどんまで作ってみせた。
あながち、家事全般が得意というのも嘘ではないらしい。
「なんか、こんなに食べたの久しぶりだな。
弘美さんと一緒だと、なんか食欲沸くっていうか、食事が美味しくて」
「なに言ってんのよ……」
そんな気恥ずかしい言葉を浴びて、私はコップに注いだ日本酒を一気に飲み干した。