僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
母に妹がいたなんて初耳だった。
彼女が僕の名前を知らないとしても当然だと思った。
「孝幸です」
僕は素直にそう答えた。
知らなかったとは言え、彼女が母の妹であるなら、僕の叔母であることに間違いはない。
「あんたも突然親戚を名乗る知らない女から電話が来たって、困るよね。
でも、あたしだって、仕方なくだよ。姉さんが帰ったら、伝えとくれよ、父さんが今日死んだって。お通夜は土曜の夜六時から仙台の実家で、告別式は日曜の十時から葬祭場で行いますって。もし両方出られそうなら、実家にも泊まれるけど、姉さんはどうしますかって」
「あの、それって僕の祖父ってことですか」
「まぁ、そういうことになるかしらね」
僕に祖父がいた、というのも初耳で驚いたけど。
彼女の冷たい反応が、それ以上僕に言葉が続ける余裕を失わせた。