僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
ところが、実家に戻り、遺骨を仏間の仏壇脇にドンと置くと、由紀子叔母さんの態度は一変した。
「大事な話があるの……」
厳しい顔をした由紀子叔母さんは、母と僕を居間へと促した。
「これにサインして欲しいの」
居間のカップボードの引き出しから、おもむろに取り出した書類を机の上に広げ、由紀子叔母さんは厳しい口調で捲し立てた。
「姉さんが居なくなってから、父さんの面倒はあたしが全部見てきた。ここ数年は、認知症も患って、随分と手も掛かったし、お金も使ったの。もうこの家以外に父さんの遺産は、現金が数百万と証券の類しか残ってないの。今更、遺産相続とか言って、姉さんに法定相続分の遺産を要求されても、この家を売るしかない。だから、わかるわよね、姉さんには遺産を放棄して欲しいの」
叔母さんの目的は、これだったんだ。