青空ライン *Third Story*
「…分かりました。」
と女の人が言うと、しばらくして男の声が聞こえた。
「もしもし、萩原じゃねぇだろ。誰?杏?」
「生憎、私は杏じゃないです。すいませんね!」
やっと出た。これは本当に優先輩だ。
本当にむかつく。
私はいきなり優先輩に嫌味をぶつけてあげた。
「あー、分かった。萩原の妹か。
なんかいつも俺と話する時怒ってねぇか?」
と暢気な優先輩。
そんな先輩にまた怒りが満ちてきた。
私は世間話をするために電話したんじゃない!!!
「先輩、いい加減にして下さい。
杏の見えないところで浮気するなら、ちゃんと杏に別れを告げてからにして下さい。
それに先輩は何にも分かってない。
この1年間不安で不安で仕方ない杏が優先輩にサッカーを頑張って欲しいっていう一心で
連絡したいのもずっと我慢して、泣くのも我慢して…
卒業式だって帰国したくせに杏には会いもせずにすぐに帰って
帰国の連絡だって杏だけにはしない
そうやって杏の気持ちを弄ぶ(もてあそ)のなら私の彼氏のお兄さんにもう1度付き合うように言うから!
今の先輩は嫌いです。
もう一生フランスにいればいい!」
そう言い切ると、返事も何も聞かずに私は電話を切った。