青空ライン *Third Story*
泣きながら走っている時、後ろから大好きな声が聞こえた。
「杏が別れたと思っていたって俺は絶対に認めないから!
杏だけを好きな気持ちは今もこれからも変わらないから!」
嘘つき…
そんな風に思ってくれてたらあたしから別れなんて告げないよ。
「うー…ひっく」
その言葉を聞いて一瞬優のところに戻って抱き着きたくなったけど
その気持ちを必死に抑えて息切れをしたって駅まで一生懸命走った。
「…終わっちゃった」
中学生の時から優のことが気になっていて
高校まで追ってきて、サッカー部のマネージャーになって
夢が現実になって、一緒に頑張ってきて
一生分のプレゼントをもらってしまったって言ってもおかしくないくらい奇跡が起きて
好きになってしまった優と付き合うことができて
そして冬の匂いを漂わせた今日…全部終わった。
あの時の優の声はマンション中に響いていて
こんな状況になっても嫌いになれないことを実感させられた瞬間だった。