青空ライン *Third Story*



「杏…春田のこと…知ってたの?」



ざわざわとする昇降口の中、後ろから今の様子を見ていたのか聞き慣れた声が聞こえてきて



後ろを振り返ると希美がびっくりした顔をしてあたしを見ていた。



圭のこと知ってたの?ってあたしに聞いてきたってことは…



もしかして希美は圭がここにいるのを知ってたってこと?



「うん…最近ね。希美は?」



あたしが希美は言いにくそうに…



でもいつものようにはっきりした声でゆっくりと



「私、…中学生の時から春田がこの学校のスポーツ科に行くこと…知ってた」



そう告げた。



え…そんな…



ずっとずっと希美は知ってたの?



「…」



「私の知ってること全て杏がいいなら全部話すから



今はホームルームが始まるから教室に行こう。」



あたしは希美の言葉に黙って頷くと、希美の横を歩かず敢えて希美の後ろを歩いて教室に向かった。


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