青空ライン *Third Story*
一段ずつのぼる階段がいつもよりも重たい。
あたしの足は誰かにまるで捕まれているかのように重くて
視界もいつもよりも暗くて逃げたくて仕方なかった。
何とか希美の後をついて行って希美があたしの方を振り向いた時にはすでに教室に着いていた。
「今まで…黙っててごめん。
でもこれだけは言わせて。
春田はあの時、浮気してない。
…杏のことを誰よりも好きだったと思う。」
え…圭が浮気してない?
そんなはずないよ。だってだって…あたしは…
「あたしは優に初めて会った日に圭が西条先輩とキスしてたのを見たんだよ?
あれは間違いなく圭だったよ?」
必死に希美にあの時のことを分かってもらいたくて訴えた。
だけど…
「知ってる。…でも春田は浮気はしてない。」
の一点張りで分かってくれなかった。
真剣な表情で言う希美に現実味が増してきて
もしかしたらずっとずっとあたしが圭のことを苦しめてきたんだと思ったら
胸が痛くて痛くてしょうがなかった。