青空ライン *Third Story*
「あたし…本当は…優にフランスに行って欲しくなかった。
無理だとしても…あたしも学校を休学してついて行きたかった。
フランスに行ってからも向こうで優が綺麗な人を好きになったらどうしようって
帰ってきた時にもう別れようって言われたらどうしようってそんなことばかり考えてた。
連絡だって本当はいっぱいしたかった。
でも時差や優の疲れ、迷惑になるってことを考えたら結局今日まで1度しかできなかった。
だから、卒業式に帰ってくることを信じて毎日頑張ってきたけど
みんなには会ったのに、あたしだけには会いに来てくれなかった時にはもう優は好きじゃなくなっちゃったんだと思った。
部活の時だって表沙汰にできなくて辛かったし、優が引退した後だって表沙汰になっても女子達に色々言われて辛かったのに
みんなから期待されている人を好きになるのにたくさん辛い思いばっかりするなら、違う好きな人を見つけようかと何度も思った。
だけど…だけど…どうしても見つからなかった。
見つかる見つからない以前に優のことが頭から離れなくてそんなことなんて考えられなかった。
それで最終的には帰国の日をみんなが知っててあたしだけ知らなかった。
優の頭からはもうあたしのことなんて消えちゃったのかとさえ思ったんだ。」
あたしは必死に涙をこらえながら、この先のことも覚悟しながら全部全部気持ちを優にぶつけた。