青空ライン *Third Story*
「…」
喋ったら我慢している涙が全部溢れてしまいそうで、あたしは首を横にフルフルと振ることしかできなかった。
「そんなことねぇよ、たまに希美から聞いてたよ。
お前…優が向こうに行ってから一度も泣いてないんだろ?
優のファンから何を言われても1人で耐えてたんだろ?
その他にも不安だってたくさんあったってのにわがまま1つ優にぶつけなかったんだろ?
普通の彼女だったらな、頑張ってもすぐに限界が来て
その後は泣いて、相手に全部わがままぶつけて、今すぐ帰ってきてって無理難題をぶつけて…
相手も彼女のことを考えて、サッカーに集中できなくなって何もかも終わる。
俺さ、大学に入って夏休みに強化合宿に2ヶ月行った時、そういう奴を近くで見たんだ。」
「うー…ぐすっ」
もう涙は我慢できなかった。
1年間我慢できて泣き虫卒業できたって本当に思ってたのに
萩原先輩の言葉1つ1つが胸に響いて…
そしたら涙を我慢する方法なんて分からなくなってしまった。