青空ライン *Third Story*
「おい、萩原!なんで杏を泣かしてんだよ!」
あたしが泣いてるのを気付いた優はすぐにやってきて、泣いてるあたしを引き寄せて片手で抱き締めた。
「ほら、二ノ宮俺が怒られちゃったじゃん!」
と後ろから萩原先輩の声が聞こえてきた。
「優せんぱ…い、萩原…先輩は…なん…にも悪く…ないん…です。」
あたしは顔を上げて優を見て、優の服の袖をぎゅっと握りながらそう言った。
「あーもう!じゃあ何で泣いてんだよ!」
優は髪の毛を掻きながらちょっと怒った口調で言った。
怒ってる…
普段全然怒らない優が怒り出したからあたしはびっくりして、涙も止まった。
「…萩原先輩があたしのこと…褒めてくれたんです。
そしたら…嬉しくて涙が出てきちゃって…止まんなかったんです。」
あたしは振り返ると、萩原先輩に「すみません」と謝った。
「はぁ…何だよ、勘弁しろよな。
…マジで焦った。
たたでさえ、先輩って呼ぶし、敬語で他人行儀だし、萩原と近いしで…怒りを抑えるの大変だったのに。」
マジで焦ったの後の言葉はあまりにも小さい声になって近くにいたのに聞き取れなかった。