青空ライン *Third Story*
ボーっとお湯が沸騰するのを見つめている優。
あたしが近づいているのもきっと気付いてない。
優にバレないように、足音を立てずに行くと後ろからぎゅっと優に抱き着いた。
そして優が何か言う前に…
「おかえり、優。ずっとずっと会いたかったよ。」
と優にしか聞こえない声であたしはそう呟いた。
この優の匂い…本当に落ち着く。
「ただいま、杏。やっと気付いたのかよ?」
優はあたしが優の顔を覗くとそっぽを向いてしまった。
だけど、あたしが抱き着いている手をぎゅっと握ってくれた。
「うん、…ごめんね?今日、先輩たちもいたしちゃんと他の先輩たちみたいに対応しなくちゃかな?って思ったの。」
「良かった…。あんな風に言われたから一瞬付き合う前に戻ったのかと思った。」
「そんなことある訳ないのに。」
そんなことあったらあたしが死んじゃう。
さすがにもう頑張れないよ。
今だって、あんな恋愛禁止の中片思いしていた自分を信じられないくらいだし。
「だよな。紅茶淹れてやるからソファーで待ってろ。」
「ありがとう。」
あたしは素直に優から離れて2人がけのソファーで大人しく優が来るの待っていた。