青空ライン *Third Story*
「優…ありがとう。」
優は何でもできちゃうからきっとこんなあたしの問題集なんかやらなくてもできるはずなのに
時間見つけて問題集を解いてくれたことが嬉しい。
本当は…嬉しいけど無理だけはしないでね?って言おうと思ったけど
優の欲しい言葉にこのことはいらないって咄嗟に思ったからお礼しか言わなかった。
「いいんだよ、自分のやりたいことをやっただけだから。」
と笑顔でそう言ってくれたから"ありがとう"って言葉だけで十分だったんだと思う。
「あたし、絶対短大合格するよ。」
「うん、杏なら合格できるって信じてるよ。さぁ、本当に杏のご両親が心配するから帰ろ?」
「うん!」
どうして学校の図書室で勉強してたのに、優の家で勉強してるかと言うと…
進路のことを話したときにサラッと優に図書室で閉館するまで1人で勉強してるって言ったら駄目って言われたから。
でも優は家で勉強が集中できないんだったら、日も短くなって危ないから学校終わったら途中まで希美と帰ってきて俺の部屋で勉強したら?って言ってくれた。
だからその言葉に甘えて、ちょっと前から毎日優の家の合鍵を持って通ってる。もちろん、場所を借りる代わりに優のごはんを作って。
いつかこの家で優と一緒に住めたらいいな。
あたしは勉強道具を全部バッグに詰め込んで、マフラーをグルグル巻いて帰る支度をすると家まで送ってもらった。