青空ライン *Third Story*
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日曜日。
「それで、優先輩の試合は観に行かないでここに逃げてきた訳ね。
おじさんとおばさんは本当に観に行ったの?」
呆れ顔の希美。聞かなくても今なら希美の本心が分かる気がする。
「…うん、2人とも久々に観に行くからサッカーの血が騒いでやばい!とか言ってね…」
あたしはお父さんとお母さんを見送ってから希美の家に来た。
それから、受験の時期とか関わらずいつも試合のときは優に応援メールを欠かさず送っていたのにそれさえも今回は気が乗らなかった。
普通の素振りをするのが精一杯でメールまではできなくて……
あたしのことならすぐに気づいてしまう優ならきっと今回も当たり前のように気づいてしまっているんだろうな。
「ねぇ…杏、本当にそれでいいの?
杏のお母さんだけじゃなくて優先輩のこと知ってる人は学校の人だけじゃないんだよ?
メディアにも流れているから全国に知れ渡っていることになってるし
フランスでも知っている人はたくさんいるかもしれないんだよ?」