青空ライン *Third Story*



Side 希美



「あー!むかつく!」



私は家に帰って「ただいま」の代わりにそう言って中に入った。



優先輩がフランスに行ってから、必死に泣かないようにあの泣き虫杏が頑張って



女子から冷たい目で見られたって、悪口を言われたって



サッカー部のみんなや私の前では



無理に笑顔を作って今日まで乗り越えてきたっていうのに



あの人はとうとう止め(とど)を刺したね!



もう我慢できない!と思った私はすぐさま階段をダンダンと音を立てて上って、突き当たりの部屋のドアをノックもせずに開けて



「兄貴、優先輩に言いたいことあるから携帯貸して!」



と大きな声で言った。



「なんだよ、いきなり。せっかく課題片付けるために早く返ってきたってのに邪魔すんじゃねぇよ。」



と低い声で睨みながらあたしに言う兄貴。



「うるさい!優先輩がいい加減許さないの!



来週までなんか待ってらんない!」



「お前…それ「いいから貸して!」」



兄貴は何か言おうとしてたのは分かっていたけど、怒り狂っていた私はそんなこと聞いている余裕なんてなくて



差し出してきた携帯を奪うようにもらってその場で電話を掛けた。


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