限りない時代の如し~時ヲ越エタ桜ノ木~


“降ルノハ雪ノ如シ 過ギ行クハ時ノ如シ
 舞イ散ルハ花ノ如シ 全テノ者ヲ魅了シチカラ・・・”


「・・・なに、この声・・・」


切なく、凛とした声が響く。

しかし、路地にいる猫さえ反応しない。

囁くような声。

だが確かに聞こえる。

周りの雑踏を踏みつぶし、あたしの耳に訪れる。

そして耳から脳へ、鋭い電気のようなものが巡る。


――!


ハッとして気付く。

―――あたしを呼んでいる・・・?

何かが・・・いや。

本能か。

あたしを動かす。


足は自然と、神社に向かっていた。

そして触れるのは・・・


「さ、くら・・・?」


おかしい。

今は夏。

なのに・・・


「桜が・・・散ってる・・・」




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