限りない時代の如し~時ヲ越エタ桜ノ木~
時代ハ戦国
「――――――・・・ま」
「ん・・・?」
「珠紀さま!起きてください!」
「んんー・・・」
頭を抱えながら起き上る。
あたしのことを珠紀と呼ぶこの少女は確か・・・
「梢・・・」
「はい?なんでしょう、珠紀さま」
「・・・いや、なんでもない」
意識は確かにあたしだ。
なのに・・・分かる。
大体の状況が。
今からしなければいけないことも、ここがどこなのかも。
「あぁ・・・本当にタイムスリップしてしまったんだな・・・」
「タイ・・・?なんですか、それ?」
「いいや、なんでもない。支度をしよう」
この梢という少女はあたし・・・というかこの時代の珠紀が、盗賊から護った子だ。
それからは金魚のフンのような存在だったが、珠紀の胸には温かいものだある。
きっと、愛情だ。
――――ピーーッ!!
あたしは慣れた様子で指を口にくわえ、音を鳴らす。
すると、どこからともなく白馬が現れた。
「梓ァ!」
この馬の名前は梓。
聖馬といって、聖域である山で生まれた神聖な馬だ。
あたしは梓にまたがる。