限りない時代の如し~時ヲ越エタ桜ノ木~
「では、行ってくる」
「はい。」
「留守を頼んだぞ。」
「はい、御無事で」
「・・・梢。」
「なんでしょう、珠紀さま」
「今日は・・・どこに現れたのだ?」
「あ・・・」
二人とも忘れっぽいところがあり、今日倒しに行く妖怪の場所を忘れていた。
あたしと梢はくすっと笑う。
「西の山の近くです。得体のしれない大きな妖怪が出るとか・・・」
「分かった。・・・じゃあ、しかと頼んだぞ」
「はい、お気をつけて」
あたしは梓を走らせる。
刀をぶら下げて、いつものように颯爽と風になびかれる。
少し行くと、異様な雰囲気を感じた。
「・・・これは・・・」
梓の歩みを止めさせる。
村が悲惨に荒らされている。
人々は血だらけで、息のあるものはいなさそうだ。
「これも・・・化け物の仕業か…」
あまりに悲惨な光景に、目を覆う。
血なまぐさく場所から離れたい、と感じた時。
―――スッとあたしの頬を掠ったクナイ。