金平糖のような甘い甘い恋
 ―ガラガラ―


 保健室に入ると誰もいなかった。


 「はぁ」


 あたしはソファに座った。


 「....グスッ」


 あたしはさっきの蓮君のことを思い出し
怖くなって涙がこぼれた。

 そして....裕輔先輩に会いたいと思った。

 欲張ったら駄目だって分かっても
あたしの心は嘘をついていなくて

 『裕輔先輩に会いたい』と
何度も言った。


 ―ガラガラ―


 保健室に誰かが入ってきて
とっさに涙を拭いた。


 「麗香ちゃん?」


 え?この声...もしかして。


 あたしはドアの方を向いた。


 そこには....


 「裕輔先輩?」


 制服が乱れている裕輔先輩の姿があった。


 「なんでここに....泣いてんのか?」


 裕輔先輩はあたしが泣いているのに
気づいき近づいてきた。


 「べ、別にないてませっ...グスッ」


 裕輔先輩の声を聞いてなぜか
ホッとしてまた涙が流れてきた。


 「どうした?!何かあったのか?!」


 裕輔先輩はあたふたしながら
あたしの顔を心配そうにのぞき込んだ。


 裕輔先輩を困らせたいわけじゃない。

 でも....でも.....


 今一番会いたい人に会えたから
涙が止まらないの。
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